第1回 なぜ「香りのテレビ」はなかなかできないのか?

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なぜ「香りのテレビ」はないのだろう、と不思議に思ったことはありませんか。1953年に日本で初めてテレビ放送が始まってから、音と映像からなる動画の世界はどんどん進歩しています。私たちは今や当たり前に、手に収まる小さなスマートフォンで、Youtubeにアップロードされた多数の動画から好きな動画を選んで見ることもできるのです。

しかしながら、香りはどうでしょうか。音と光はこの半世紀の間にどんどん空間を超えていったものの、全国の家庭で香りがテレビから出てくることは未だに実現していません。

なぜ香りのテレビはなかなかできないのでしょうか。香りの性質とともに、考察します。

なぜ「香りのテレビ」はなかなかできないのか?
映像と音は波で伝わる

なぜ香りのテレビはなかなかできないのか。その一つの理由は、香りの性質にあります。

テレビで見ているのは動画です。動画は、映像と音からできています。私たちは映像を見るとき、視覚で光をとらえています。音を聴くとき、聴覚で空気の振動をとらえています。光も音も、どちらも波の性質を持ち、空気中を伝わります。

香りは直接触れて伝わる

一方で、香りというのは分子です。波のように伝わるのではなく、分子が浮遊し、鼻の中に直接香りの分子が触れることで、私たちはニオイを感じることができます。感じる対象のものに、直接触れているのです。

直接触れているということは、どういうことでしょうか。例えば、「テレビで花の香りを届けよう」と思ったら、見てくれる人の鼻の穴に、花の香りの分子が直接触れなければなりません。

これが一つ、香りのテレビを難しくしている要因です。

香りが配信されるには○○が必要!

しかし、これで「香りのテレビ」はできないという結論になるのは、まだ早いです。花の香りを届けようと思ったら、香りの分子そのものを目的地に送る以外にも方法があります。

香りをデータに変換する

香りそのものを送るのではなく、データを送るのはどうでしょうか。花の香りをデータ化して、そのデータを送信し、受けとった先で再び花の香りに変換するのです。香りそのものを送ることができなくても、相互変換さえ可能であれば、データで送ることが可能です。

テレビや電話もデータで送られている

実際、テレビや電話等は、音や映像をデータと相互変換する仕組みがあって、配信されています。すなわち、映像や音声がそのまま送付されているのではなく、いったんデータ化され、そのデータが送信されているのです。データは、受けとった先で視聴できる形に変換されて、私たちの目や耳に届きます。

さらに購入データから、よく購入される香りタイプに合わせて他の商品を提案したり、商品開発に役立てることもできます。

データにして配信するしくみ

さて、データにして配信する仕組みは、3つのステップに分けて考えることができます。データ化する、データを送る、そして、データを変換する、です。

1.データ化する

1つめのデータ化するステップは、カメラやレコーダー等が担っています。これらは、映像や画像、音を、送信できる「データ」にする機能を持つツールです。

2.データを送る

2つめのデータを送るステップは、電話回線やインターネット等が担っています。これらの通信技術によって、データが私たちのもとに送られます。

3.データを変換する

3つめのデータを変換するステップは、テレビやスマートフォン、音楽プレーヤー等が担っています。データのままでは映像や音を視たり聞いたりできませんが、データを変換して求める形を再現します。

香りのテレビも夢じゃない!?

映像や音楽と同様に、香りについてもデータとの相互変換が可能になれば、空間を超えて香りをやりとりできるはずです。さらに近年、データ化については香りのセンサーが、データの変換についてはAIによって、実現できる道筋も描けてきました。香りのテレビの実現も、決して夢ではないのです。

*香りのデータ化と、データの変換については、第8回と第9回でお話します。

参考:NTT東日本https://www.ntt-east.co.jp/business/magazine/nw_system/04/

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